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乳歯の時に注意すること(歯並び:反対咬合)

最近は、子供のむし歯がかなり減っています。なぜ減ってきたのか諸説ありますが事実です。

 

ママたちの関心は、むし歯にならないようにするにはどうしたらいいかということと同じくらい歯がきれいに並ぶかどうかということも増えてきています。

 

ここではむし歯よりも、先に歯並びについてお話します。

 

まず、一般的な知識として大雑把に以下のことを知っておいてください。

ただ、今かかっておられる歯科医師とは違う考えかもしれません。私はどちらかというと楽観的なので、その点はご了承ください。

 

  1. 乳歯の時の歯並びが、必ずしも大人の歯の歯並びに絶対に影響するとは限らない。
  2. ママやパパの歯並びは、子供に影響する(遺伝する)ことは多い。
  3. 乳歯の時期の口呼吸は歯並びに影響する。(鼻が詰まりやすいなどの原因で)
  4. 正しく言葉を発することが実は大切。
  5. 指しゃぶりは必ずしもすぐにやめさせなくてもいい。
  6. 子供の歯並びにパーフェクトを求めているのか、個性として受け入れられるのか、パパやママの価値観が重要。
  7. 矯正治療はいつでも(大人になってからでも)始められる。

 

 

 

 

Daniel AlvarezによるPixabayからの画像

反対咬合は将来しゃくれてしまうのか?

乳歯は2歳から3歳ごろまでに全て生えることが一般的です。3歳半をすぎても、乳歯の数が少ない場合はもともと、乳歯の数が少ない可能性があります。

 

ここでは、乳歯がすべて、下が10本、上が10本、計20本生えそろった時点での話とします。

 

まず、このころにママたちが気にするパターンで、かみ合わせが周りのお友達と違う「はんたいこうごう(反対咬合)」です。

 

 

 

こどもの反対咬合が大人になっても反対になるとは限らない

咬み合わせが反対になっているとは、つまり、咬み合わせたときに、下の歯が見えて、上の歯が少し隠れる、下あごが前にしゃくれて出ているような感じになっている状態です。

 

このような場合、基本は小学校入学前後に永久歯が生え始めるまで待っても大丈夫です。

 

一方で、2歳児、3歳児から積極的に矯正したほうがよいと考える矯正歯科専門医もいることから、ムーシールドという装置を使って、永久歯が生える前に反対のかみ合わせを治(なお)しておくこともできます。

 

寝ている間に、口に装置をはめて寝るのです。けっこうあっという間に治ります。

 

しかしこれをしなくても、すなわち、経過を見ておくだけでもいいと思います。

 

なぜなら、小学校入学前くらいから小学2~3年まで、前歯が永久歯と生え変わりますので、この時に、反対にならなければいいのです。

 

 

乳歯で反対だったかみ合わせも、自然と上の前歯が下の前歯に少しかぶさるくらいの通常のかみ合わせになることも多いです。ただ、注意深く観察することは大切です。上の前歯は歯ぐきのくちびる側から顔を出すことが多く、下の前歯はどちらかというとベロ側、内側から生えてくることが多いので、様子をみておくだけでもうまく生える場合がよくあります。

 

 

 

この写真では向かって右側の下の前歯が少し暗い色ですが、これが永久歯です。少し内側から生えてきています。

Josef PichlerによるPixabayからの画像

 

 

たいてい、下の前歯から先に大人の歯に替わります。それから、上の大人の前歯が下に向かって生えてきます。

この時期をできれば、通院中の歯科医院で歯科医師とともに観察し続けてください。

 

つまり、下の前歯が生え変わったら、観察モードをONにしてください。

 

ちょっと、反対になってしまいそうってときも、簡単な装置で上の前歯を理想の位置に誘導できます。

 

何もせずに、様子を見ておくのは嫌かもしれませんので、その間に親がやるべきことを列記しておきます。

  • 鼻で呼吸できるようにする。鼻づまりは耳鼻科で診てもらいましょう。
  • 「タ」の発音をハッキリ強くできるように、遊ぶ感じで「タ タ タ タ」の練習を親子でやってください。

これは、内側に入っている上の前歯が生えている上のあごの骨の成長を「ベロで前に広げる」力をかけ続けるのです。ベロの押す力はすごい強いので、これをしっかり意識しましょう。

 

ベロの先が上の前歯の少し後ろにつけておく、(「タ」の発音をするときに、舌の先が触れる位置)ことを意識させましょう。

 

 

両親のうちどちらかが、反対咬合の場合は、より長期に注意しましょう。

もし、パパかママが反対のかみ合わせ、すなわち下あごが上のあごよりも前に出ている場合、お子さんも、大人になって、同じようになる可能性は高くなります。

 

この場合も生え変わりが始まる6歳前後から、下の前歯が大人の歯に替わったら注意して観察してください。

 

遺伝的に下あごが前に出る可能性が高い場合は、前歯が反対にならないようにすることで、下あごの前方への過度な成長をある程度抑制できます。

 

しかし、下あごは、身長が伸びるにしたがって、大きくなってきますので、少なくとも18歳くらいまでは気を付けましょう。

 

気になる場合は、矯正の専門の先生に一度、診てもらってください。

 

ただし、反対咬合でも、普通に食事もでき、なんら日常生活に不自由を感じず、下あごが出ていても、ご本人もご両親も、それを個性と受け入れられるなら、気にしすぎる必要はありません。

次回は、歯が重なる、乱ぐい歯を解説します。