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口の中のガン

ガンと聞くと、恐いしイヤですよね。

 

ガンによっては、大きさにもよりますが、手術で取って、適切な治療を受ければ、転移や再発が少ないものもあります。

 

口の中にも残念ながらガンはできます。舌ガンの場合少し大きくなるとリンパ節に転移しやすいので嫌なガンの部類です。

 

口腔ガンについては、有名人が舌ガンになったといったニュースなどでご存じだと思います。

 

首から上のガンは、体全体にできるガンの2%程度なので、一般の歯科医院の診察中に遭遇することはそんなに多くありません。

 

ただ、開業して8年になりますが、一人の方はガンになりました。

 

しかし、発見が早く、早期に大学病院に紹介できたこともあり3年経過しても再発や転移などはなくお元気です。

口の中のガンの見つけ方

ここでは、自分でできるガンの見つけ方を書いてみたいと思います。

 

以下が、特徴です

 

  • 痛くない(ことが圧倒的に多い)
  • 違和感程度
  • 口内炎のように見える(白かったり、赤かったり)
  • しこりがある(進行してきた場合)
  • 口内炎のように見えるものが、2週間たっても消えない

 

鏡の前で口の粘膜をチェックすることが大切

Andre MoutonによるPixabayからの画像

上に書いたように、口にできるガンは痛くありません。

 

ただし、進行してくると神経などにガンが入り込んできて痛くなってきます。

 

従って、自分で口の粘膜をたまに(1か月に1~2度)チェックすることが大切です。

 

見える範囲でいいので、口の中の粘膜を見て見ましょう。

一度見ただけでは分からないことが多いので、定期的にチェックすることで、変化があったときに

 

んっ?

 

何これ??!!

 

と、気づくことができるようになります。

痛みがない変化なら2週間チェックする

痛みがある場合はおそらく、単なる口内炎で2週間以内に消えてしまうでしょう。

 

痛みがない場合は、2週間様子を見てください。ただし、恐ければすぐに診察を受けましょう。

 

ただ、すぐに受診できないこともあるでしょう。その場合に自己観察する期間は最長で2週間です。

 

2週間たっても、変化がないようだったり、大きくなるようならすぐに、歯科医師、あるいは耳鼻科医のチェックが必要です。

 

ただし、できれば歯科の場合、「口腔外科」を標榜しているところにしてください。

耳鼻科のことはよく分かりませんが、あまり腫瘍を診たことがなかったり、治療経験のない耳鼻科のお医者さんもいらっしゃるかもしれませんので・・・

 

理想的には、かかりつけの歯科医院でまずは診てもらい、大きな病院を紹介してもらうことです。

 

大病院は、いきなり受診することをいやがりますが、さっさと診断をつけてもらうためには、いざとなれば、

紹介状なしでも、腫瘍外来などがある、耳鼻科、口腔外科のある病院に受診してください。

ただし、初めて受診するとき、紹介状なしの場合は別途数千円から数万円必要です。

 

もし仮にガンであれば、時間を無駄にできません。

 

急いでください。

djedjによるPixabayからの画像

痛みがない、腫れや膨らみで、まったく問題のないもの

ただし、実際には、ガンでないものを「ガンではないか?」と不安になって受診する方も多いです。

 

今までの経験で、ガンではないもので多いものを列記します。

 

  • アフタ性口内炎
  • 粘膜を咬んでしまった痕
  • 骨の隆起
  • 舌の奥にある、ブツブツとした隆起
  • 舌の脇の奥のほうにある、やや赤みがある隆起(両方にあります)

しかし、上のように書かれてもピンとこないかもしれません。

 

 

不安なら受診

正直に告白しますと、初期の腫瘍は、それがガンであるのかないのか、分かりません。

ちゃんと、それがガンかそうでないかを診断するには、その一部を切り取って、顕微鏡でどのような細胞なのかを専門の医者に診てもらう必要があります。

 

その専門の医者を、病理医といいます。

ただ、粘膜の変化を、すべて取って調べるわけにはいきません。

 

そのような場合は患者さんと共に観察することになります。

 

口の中の粘膜に変化があった場合で、わたし自身が気になる場合は、患者さんに手鏡を持ってもらい、一緒に口の観察をします。

 

「ここが、少し白っぽくなっていて硬いのですが、様子を見たいと思いますが、2週間たって、この白いところが変わらなければ、再度受診してください。」

 

このように説明すると、患者さんは不安そうにされます。なので続けて、

 

「まず、問題ないと思いたいのですが、ガンになる前に、このように白っぽくなることもあります。歯など硬いところに粘膜が押し付けられたり常に硬い歯に挟まれたりしていると、このような白くかたい、カタがつくことがあります。そのような場合はこの2週間の間にマシになったり消えたりすると思います。そのときは受診不要です。」と。

 

私が説明することはだいたいこのようなものです。

 

ただ、日ごろから来られる方には、ご自身で粘膜をチェックするよう促しています。

 

そして、何か気づいて不安に思ったらとにかく診せに来てくださいと説明しています。