· 

ドラッカーの限界 27/30

フリーランスに役立つ言葉

生きていくための自分ルール 「ドラッカー、ときどき老荘」

 

老荘思想は、おうちに帰った時の癒しの思想と紹介したが、ビジネスマンに向けて福永光司先生が講演したものを本にしたものがあり、ビジネスマンであっても仕事上、役立つ考えがある。

 

今日は、福永光司先生の「老荘に学ぶ人間学」という本から引用したい。

 

 

 

 

1980~90年代にかけて、イギリス、アメリカで老荘思想が流行ったが、タオイズムすなわち老荘思想を研究していたのは世界でおそらく福永光司先生が一番詳しく研究されていたと聞く。本場中国ではなく日本の福永先生であったため、パリの大学やアメリカのMITで講演を依頼されていた。

 

逆輸入という形であろうか、日本でも福永先生は、あちこちで引っ張りだこで80年代90年代はお忙しくされていたようだ。

 

NHKでも取り上げられることもあった。

 

 そのなかでも、富士通の経営者向けの研修会で講演されたものもあり、ビジネスとは無縁と位置付けていた当時の自分には興味深いことばが易しくつづられている。


今日の老荘(ビジネスマン向け)

以下引用

 

 リーダーに捧げる7ヶ条

  1. 筋目を読む
  2. 重心を下に落とす
  3. 間合いを取る
  4. 変わり身の速さ
  5. 技と心の一体
  6. 至大の世界を分母にせよ 
  7. 道は有にあらず無にあらず

 


 

 1、筋目を読む

  • 「遊心」・・心をあることに釘付けされない。見渡しを広く持つ。絶えず広い見渡しの中に自分を位置づけ、自分が今やろうとしている仕事を位置付けていく。 
  • 「遊目」・・目を遊ばせながら感覚的なものを通して事態を把握していくことです。そのためには1個所に留まらず、できるだけ旅をする。暇があったら旅をして、いろいろな場所を見ることが一つのことを成し遂げていく場合に役に立つということです。
  • 「遊刃(ゆうじん)」・・全体構造をつかんで切り捨てていいところと切り捨ててはいけないところを区別しなさいということです。筋目をよく読み、自分にできることと、自分にできないことの見分けをはっきりさせること。時には自分にできないことをしゃにむにしなければならない場合もありますが、通常は、そういうものに手間暇をかけず、自分の得意のところに力を集中していくことを考えるべきです。

 

 2、重心を下に落とす

 

外から見るといかにも弱々しそうに見えるけれども、実はそれがいちばんねばり強くて強靭なんだと述べています。

 

「おおくの小さき不勝を以て大なる勝を為す」

 

何回も何回も負けて苦杯をなめさせられた者こそが最後に生き残ることができるのだという考え方です。

 

なぜ生き残ったのか、なぜ消えてしまったのかをよく考えないなさいと述べてます。

 

 

 

 3、間合いをとる

 

「塗抹満腹」(宋の郭熙(かくき))画面いっぱいに全部塗りつぶしてしまうのはいちばん下手な絵描きなんだということです。

 

 

 4、変わり身の速さ

 

いい状況にあるものにとっても、悪い状況にあるものにとっても、すべては変化するということは、ある場合には非常に恐怖ですが、ある場合には大変な救いにもなり得ます。その救いと恐怖とをうまく使い分ける人間が最終的な勝利者になるということです。

 

 

 5、技と心の一体

 

心の世界と技の世界が大事であり、心の世界を処する場合には、「遊心」、「遊目」を基盤にして、「遊刃」つまり技術を自由自在に発揮させ、効果を上げていくという考え方です。

 

「心は閑(しず)かにして手は敏(はや)し」魏の嵆康が琴の妙技を解説して

 

 

 6、至大の世界を分母にせよ

 

この上なく大きな世界、裾野はできるだけ広く、遠く引いて、その上に自分を位置づけていくという訓練が大事です。

 

さらに、このような世界観を日常の人間の心がまえとして説いたのが、「いろいろ苦しい状況が出てきた場合には、自分を死の床に置き、この世から消えていくときの自分を基準にしながら、この自分にとっていったい何が本当に必要なのか問題を考えなさい」という臨終観です。

 

「宇宙」すなわち無限の空間と無限の時間のなかに人間存在を位置づけ、自己ないし人類の死を生まれる前の宇宙大自然の「道」の世界に復帰すること。

 

「今日の問題は何ぞ、戦うことなり。明日の問題は何ぞ、勝つことなり。あらゆる日の問題は何ぞ、死ぬことなり」 フランス ビクトル・ユゴー 『レ・ミゼラブル』の扉に書き記した有名な言葉

 

 

 7、道は有にあらず無にあらず

 

「道」すなわち根源的な心理というものは、絶えず流動し変化していく。だからそれを固定した存在物として考えるのは間違いであるし、かとして固定性をもたないものと考えるのも間違えである、という考え方です。

 

特定のものに釘付けされてはいけないということです。

 

矛盾と対立で揺れ動いていく自分の心を、絶えずコントロールしていくことが大切になってくるのです。

 

 

引用は以上