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ドラッカー1/30

日本が大好きなドラッカー

 

久しぶりにドラッカーを読みたくなって昔「雇われ医院長」の時に、これを読んで熱くなったことを思い出していた。

 

独立し個人事業主になって8年になる。この8年間見向きもしなかったドラッカー。

 

ドラッカーの著作の多くは組織(会社、企業、NPO、病院などの団体)の話が多いと感じる。

 

したがって複数の人と共に働いている人で、リーダー的な仕事を任され悩んでいる人は、ドラッカーを読むと勇気や力が湧いてくるんじゃないかと思う。

 

しかし今回は30回に分けて、ひとりで仕事をするフリーランス、個人事業主にも役立つ言葉を紹介していきたい。

 

数あるドラッカーの書籍でも、「個人がどうあるべきか」ということが比較的多く書かれており、ドラッカー自身の歩んできた人生も垣間見ることができる本書をおすすめしたい。

 

独立する前は、この本を何度も読んだのを思い出す。個人に軸をおいて、いかに生きていいけばよいのか、いろいろな気づきがあり、勇気をもらい、独立への背中を押してくれたのは本書だった。

 

 

 


25歳の銀行員だったドラッカー、日本に衝撃を受ける

David MarkによるPixabayからの画像

この本の最初に、、、


「日本の読者へ」として書かれてあるところで、「知の巨人」と言われたドラッカーさんが、日本という国を高く評価している。

 

 

ロンドンの小さな銀行で働いていた若きドラッカーは1934年6月に薄暗いロンドンの美術館で偶然日本画に初めて出会ったそうで、それ以来日本画の虜になったようである。

 

こんな 素晴らしい絵画はどんな国で生まれたのか、興味を持った彼は日本の文化、社会、歴史を学んだようだ。

 

当時ヒトラーがヨーロッパ社会と文明を崩壊させていくであろうことをいち早く確信していたドラッカーは破壊された社会と文明を、いかに再興させるかについて考えていたそうで、そういった最中に「日本」という国を知りさらに、

 

「固有の文化を守り抜き、政治と経済の機能を取り戻すことに成功した明治維新という70年前の偉業」を知る。

 

(以下引用*)

 

「私は明治維新からヨーロッパが学ぶべきものを考えた。今日に至るも、私は明治維新の奇跡を十分に知ってはいない。今では、だれにも本当のところは分からないのではないかと思っている。

なぜならば、人類史上、明治維新には似たものがなかったからである。だがこの明治維新への探求心が、やがて私のライフワークになったもの、すなわち社会の核、きずなとしての組織体への関心へとつながっていった。

 

 その15年後、20年後、私は日本の第二の奇跡を目にした。それは、混乱と廃墟からの復興だった。今日の日本、世界第2位の経済大国しか知らない人たちにとっては信じられないだろうが、1940年代末の日本を見てその復興を可能とした者は、世界に一人もいなかった。ところが実際には、戦後10年、そこには新生日本があった。驚くべきことに、あくまでも日本としての日本が生まれていた。ここでも、人類の歴史上、戦後日本に似たものがなかった。

 

(引用は以上)

 

 


*引用元

プロフェッショナルの条件

ーいかに成果を上げ、成長するかー

著者/P.F.ドラッカー

翻訳者/上田惇生

発行所/ダイヤモンド社

mohamed HassanによるPixabayからの画像

 その時まで自分は人の先頭に立つのは避けてきた。そんなとき突然、大先輩に新しく設立する歯科医院の責任者に抜擢された。これは、やばいぞ~と焦る。

 

オファーがあったときはその場で「その仕事、させてもらいます」と即答したのに。

 

帰りに武者震いを覚えながら、いわゆる「リーダー論」みたいなものはないか、本屋でも行ってヒントを得たいと思った。そこで、「いかに成果を上げ、成長するか」という副題が目に飛び込み本書を迷わず「これや!」と中身も見ずにレジに持って行った。

 

 バス停のベンチで腰かけて、この最初のくだり「日本の読者へ」を読んで、なぜか嬉しくなったのを思い出す。多くの経営者が「聖書」扱いする「知の巨人」として知られるドラッカーというエラい人が、こうまで日本のことを褒めてくれている。何か自分を褒めてもらっているように感じて素直に喜んだし、自分の国が「そんなすごいんだ~」って改めて知った瞬間だった。

 

 

読書が苦手だった自分が、この人の書く言葉なら、自分を変えてくれるかもしれないと期待した。

 

 

編訳されている上田惇生さんの文章は難しいが、パッション、父性を感じ、急に暗い道に先頭を歩かねばならなくなった自分には頼もしい言葉がちりばめられていた。

 

 

ぼくは、その日から、ドラッカーの虜になっていく。