フリーランスに役立つ言葉
生きていくための自分ルール「新しい仕事が要求するものを考える」
ドラッカーは新聞記者を辞め、ロンドンに移り大手の保険会社で証券アナリストとして勤めた。
1年後、また転職し、今度は急成長していた投資銀行に移りエコノミストとして、3人のシニアパートナーの補佐役の仕事をすることとなる。
ひとりは創業者で70代、ふたりは30代半ばだった。
働き始めて3か月ほどして創業者がドラッカーを呼びつけて彼をこき下ろす。
(以下引用*)
「君が入社してきたときはあまり評価していなかったし、今もそれは変わらない。しかし君は、思っていたよりもはるかに駄目だ。あきれるほどだ」。二人のシニアパートナーに毎日のように褒められていた私は、あっけにとられた。
その人はこう言った。
「保険会社の証券アナリストとしてよくやっていたことは聞いている。しかし、証券アナリストをやりたいのなら、そのまま保険会社にいればよかったのではないか。今君は、補佐役だ。ところがあいもかわらずやっているのは証券アナリストの仕事だ。今の仕事で成果をあげるには、いったい何をしなければならないと思っているのか」。
私は相当頭に血が上った。しかし、その人の言うことが正しいことは認めざるをえなかった。そこで私は、仕事の内容も、仕事の仕方も、すっかり変えた。
このとき以来、私は新しい仕事を始めるたびに、
「新しい仕事で成果をあげるには何をしなければならないか」
を自問している。
(引用は以上)
*引用元
プロフェッショナルの条件
ーいかに成果を上げ、成長するかー
著者/P.F.ドラッカー
翻訳者/上田惇生
発行所/ダイヤモンド社
プロフェッショナルの条件 いかに成果をあげ、成長するか / ピーター・ファーディナンド・ドラッカー 【本】
価格:1,980円 |
ドラッカーはコンサルタントとして50年以上、いろいろな国の組織と関りそこで、たくさんの昇進人事の失敗を目にしてきた。
彼曰く、昇進した人が、それまで有能だったのに急に凡人になってしまう原因は、
新し仕事に就いても、前の任務で成功していたこと、昇進をもたらしてくれたことをやり続けてしまうことにある。
それは昇進した人が無能になったわけでなく、間違った仕事をしているために、そうなってしまうらしい。
(以下再び引用)
新しい任務で成功するうえで必要なことは、卓越した知識や卓越した才能ではない。それは、新しい任務が要求するもの、新しい挑戦、仕事、課題において重要なことに集中することである。
(引用は以上)
この話は気を付けないとやりがちである。
何もサラリーマンに限ったことでない。
フリーランスにおいても新しい仕事をするときに、どうしても以前にうまくいったやり方でしようとするものだ。
しかしうまくいかないとき、
新しい仕事をする際に前回の成功が邪魔をしていることに気づかずにいることが多い。
ドラッカーの言うことは、よくよく考えれば「当たり前」のことが多いのだが、けっこう見えなくなるものだ。
過去の成功の囚人になるべからず。
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