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歯医者なのに歯が痛い

ほっとしたときになぜか痛みを感じる

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一昨日、夜寝る前に、歯を磨いて、一日を振り返りながら、ほっと一息ついていたそのとき・・・

 

うん?なんか両方とも奥歯いたい、、、

 

うん?あごが痛いんかな? どこやろ?

 

 

と、いままでに経験していない痛みを感じ、あせる。

 

この痛みのまま眠れるかな?と思いながら、不安になっている自分に気づき、歯医者のくせに・・・

 

と情けなくなる。

 

 

くいしばりが原因と自己診断するが・・・

冷静に、いま感じている痛みに向き合う。

 

歯医者の仕事の中で、患者さんを不安にさせる「痛み」に対して、正確にその原因をなるべく早く見つけて、患者さんにまず説明することが、大切だと信じている。

 

診療所に来た人の不安を取り除ことが自分の使命だと日ごろ分かったようなことを自分に言い聞かせている。

 

さて、その患者さんがこのときは自分だった。

 

まず、観察だ。

 

洗面所に行き、口を開けて見える範囲の歯をチェックする。

暗くて、上の奥歯はなかなか見えない。

 

舌で歯の表面をなでて変化はないか確認した。

 

----欠けているようなところはない。

 

手をよく洗い、指で一本一本、歯をゆすってみて、その感覚がどうか感じてみる。

-----う~んよくわからん。

 

頬をさわってみる、あごの下のリンパ節に触れてみる。

ーー別に痛くない、腫れてもいない。

 

自分で見て、触れた感じは何ともない。

 

それで痛みの状態を自分なりに、歯科医師に説明するとしたらどうなのか・・・考えてみる。

 

 

 

 

 

----いつから痛みますか?どこが痛いですか?

 

「なんか、夜寝る前になって、急に両方の上の奥歯が痛いんです。奥歯のさらに奥のほうも痛い感じがするし。

どこかよくわかりません。」

 

 

 

 

ーーどこが一番強く痛みますか?

 

「下の奥歯より、上の奥歯かもしれません。」

 

 

 

 

ーー痛みは、何か刺激があったときに痛いのですか?それとも、今このときも痛いですか?

 

「今も痛いです。いたみは、ズキンズキンというよりも、ジーンとずっと痛みが持続している感じです。水飲んでも何ともありません。歯ブラシの時も痛みは変わりません。

 

指でグッと押さえてみても楽にならないし、なんか口が開けにくい感じもします・・・

 

むし歯かなと思って、見えるところ、ベロで触れるところは自分でチェックしたんですが、大丈夫そうです。」

 

 

 

----なるほど・・・つらいですね。

 

「なんでですか?」

 

『この痛みは何なん?』

 

『はよ教えて!』

 

 

この痛みのパターンは、すでによーく知っている。

 

くいしばっていた時間が長かったために起こる痛みだ。

 

でも納得できない自分・・・

 

くいしばってないし・・・

 

急に今まで、患者さんに「くいしばりが原因ですね」と自信マンマンに説明していた自分に自信がなくなる・・・

 

マウスピースも装着できない痛み

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このようなときにはマウスピースをつけることで、それ以上無意識で咬みこんで、歯にさらなる負担をかけないように予防する。

 

歯科医師の自分が、痛みで不安になっているもう一人の自分に「マウスピースをすぐ付けなさい!」と言う。

 

そこで、マウスピースをつけてみるのだが・・・・

 

よけいに痛みが増幅されるではないか!!

 

マウスピースはソフトタイプで、やわらかくグニャグニャしている。

 

でも、付け始めは微妙に圧迫感をおぼえる。

 

しばらくすると、なじんでくるのだが・・・

 

この日に限って、なかなかなじまず、それどころか、感じる痛みがどんどん大きくなるではないか・・・

 

 

マウスピースを装着している患者さんが、「痛かったからマウスピースを付けてなかった」とおっしゃるときに、

 

「そういう時こそ、マウスピースを付けておいたほうがいいのですよ」なんて説明しているのに。。。

 

 

こんな状況で、絶対無理や!

 

 

 

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患者さんのことをわかっていなかった

さらに不安がつのる。

 

おそらく、くいしばりが原因ということは、間違いない。

 

むし歯はない、歯のゆるみもない、歯ぐきから、バイ菌が入って腫れているわけでもない。

 

診断としては、くいしばりすぎて、あごの開け閉めに使われる筋肉のこわばりと痛み、上下の奥歯をいつもよりも強い力で、いつもよりも長い時間接触させ、力をかけていたことによって、歯の根っこにある歯周じん帯を一時的に痛めている。

 

 

これで、おそらく間違いない。

 

くいしばりすぎると、歯の中にある血管が充血する。特になぜかほっとする時間に充血してくる。


この充血して膨らんだ血管がからみ合う神経を圧迫して痛みをつくりだす。

 

いろいろな患者さんが、そう自分に教えてくれた。

 

そして、今日、わたし自身もそれを経験している。

 

 

でも・・・

 

 

いつくいしばっていたか?

 

思い出せない、一日のことを振り返っても、

 

 

くいしばりなんてやってない!

 

って診断した歯医者自分に訴えている。

 

 

よく日常の診療で患者さんと押し問答になることが、まさにこの自分の中で起こっているのだ。

 

 

結局、納得いかないまま、マウスピースも付けることができずに、寝た。

 

 

 

 

 

そして、、、、

 

 

 

次の日も前日いつ、くいしばっていたか振り返ってみても、、、

 

わからへん。。。

 

 

 

 

 

ほんで、、、、

 

 

今日になって、くいしばっていたと思われる行為に気づいたのだ。

 

 

確かに、あの日、いつもやっていないことを2時間ほどやっていた。

あの時間か?

 

 

そして、人には言っていないことにチャレンジしていたのだ。

あまり人には自慢できないようなことなので、やっていた自分を、どこかで自分自身が忘れさせていたのかもしれない。

 

やっていないことになっていたのか、都合よく忘れていたのか、よくわからないが。。。

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日ごろ、患者さんに「くいしばっていたでしょ?」って聞いても納得されないことに、いらだつこともあったが、身をもって今回その納得できないことがわかった気がした。

 

くいしばっていたことに気づくことは、難しいことも。。。

 

 

くいしばり続けて、歯をダメにしてしまうことは不合理である。

 

 

自分で自分を壊していくのだ。

 

 

なぜ、くいしばるのか?

 

 

その答えはいろいろある。知っている。もっともらしく聞こえる。

 

 

脳が癒されるから、頑張れるから、集中できるから、体の軸がしっかりするから・・・

 

 

でもやりすぎてしまうと、症状が出る。

でもやってしまう。

 

 

いつもと違うことを今日はする。ってことを分かっていて、その作業をする前に、マウスピースをして臨む。

 

 

ってことができるのは、難しい。

 

ルーティーンとなってくる、定期的な運動であったり、仕事だったりすればできるが、、、、

 

 

あの行動が、そんなにくいしばらないといけないことだったのか?

 

 

これは、前もって予測できない。

 

 

しかし、今回これに気づくことによって、次回同じことをするときは、気を付けることができる。

 

 

患者さんの不安を払しょくするには、気長に、くいしばってしまう患者さんの行動パターンを一見つけていくことだと知った出来事だった。